歩くときに痛みがでると困るのが股関節。股関節に痛みが生じると【椅子から立ちあがるとき】【車から降りる時】【朝の起床時】など様々な場面で痛みが出てしまいます。
股関節が痛む原因は、主に腰から発することが多いと考えますが、『変形性股関節症』や『臼蓋形成不全』アルコールの摂りすぎなどで起こる『大腿骨頭壊死』などがあるので一概には腰から起こるとも言えません!!
この中で、一番身近なものは『変形性股関節症』でしょう。変形性と言えば、すぐに思い浮かぶのは【膝】ではないでしょうか?変形を起こすと骨棘(骨に棘状のものができる)ができ、それが動く度にあたり炎症を起こし痛みが生じてしまいます。あまり、症状が悪化してしまうと【手術】の対象となってしまうので注意が必要です。
股関節の可動域が左右で全く違う方は要注意です!!わかりやすい姿勢で言えば、『あぐら』ですね。あぐらをした際に右と左で膝の高さが違う場合、又は明らかに左右差がご自身でもわかるぐらいの場合は今、痛みがなかったとしても後々痛みが生じてしまうので早めに治療することをおススメします。
また、股関節だけでなく他の部位にも症状がでてしまうことがあります。
例えば、【腰】や【膝】です。股関節の可動域が明らかに左右違ってしまうと当然、歩行にも影響が出てきます!長期間、気付かずに崩れた歩き方をしていると、バランスを崩した状態になっているので腰や膝、又は足関節にまで痛みを引き起こす原因になるのです。
それだけ、股関節1つ悪くなるだけで影響が出てきます。ここで、股関節の構造と症状別による症状と予防・対策を紹介していきます。
股関節の構造
股関節は、大腿骨の先端にあるボールの形をした大腿骨頭と、骨盤側で骨頭の受け皿になる深いお椀の形した臼蓋との組み合わせでできた、いわゆる球関節です。正常な股関節では、寛骨臼が骨頭の4/5を包み込むことで関節を安定させています。股関節には、普通に歩くだけでも体重の3~4倍の力がかかると言われております。この力を支えられるよう、股関節は筋肉や腱などで覆われており、安定性を保ったまま色々な方向に動かすことが出来ます。股関節は肩関節と同様の構造なので肩関節にもほぼ同じことが言えます!
股関節の機能を維持するには、関節の骨に負担をかけすぎないようにしながらも、周りの筋肉を常に鍛えておくことが非常に大切になります。
股関節 症状別
1.変形性股関節症 ・・・ 股関節は大腿骨の丸い骨頭が骨盤側の寛骨臼に組み合わさり、両方の骨の端は軟骨と呼ばれる非常に滑らかな組織で覆われ、体重を支えたり滑らかな股関節の動きが出来るように重要な役目を果たしています。
変形性股関節症は、関節軟骨が変性し、擦り減りを起こすことにより、関節に炎症反応が引き起こされ、痛みや骨頭・寛骨臼の変形をきたすようになります。股関節の障害を引き起こす病気として最も頻度が多いのが、変形性股関節症です。
原因として、寛骨臼形成不全(又は臼蓋形成不全)と呼ばれる骨頭に対する寛骨臼がカバーする範囲が狭く、体重を支えるのに不利な股関節の形状を持たれている方が、ある年齢以降に症状がでてくる割合が高いとされています。特に女性に多く、40~50歳代が多いとされてますが、寛骨臼形成不全の程度が強い方は20代以下でも出現することがあります。
2.大腿骨頭壊死 ・・・ この病気は最近メディアでもよく聞いたのではないでしょうか?俳優の坂口憲二さんが発症したと言われた症状です。これは、大腿骨頭の血の流れが止まり、部分的に骨頭の骨細胞が死んでしまう病気です。最初は骨頭の形や軟骨は正常で痛みもありませんが、死んだ骨がつぶれると関節が変形し、痛みや歩行障害が発生します。男性ではアルコール多飲、女性では他の病気の治療でのステロイド使用歴を持たれる患者様が多いとされていますが、それらを含め骨頭の血の流れが止まる理由はほとんどが原因不明とされています。
壊死の範囲が小さければ経過観察が骨頭の骨切り術をして壊死のないところで体重を支える手術をしますが、骨頭の破壊が進めば人工関節が必要となってきます。
3.関節リウマチ ・・・ 免疫異常によって体の中の正常組織を障害する物質(自己抗体)が生産されることによって起こる病気です。全身のあらゆる関節が影響を受けます。股関節や膝関節など脚の関節に病気が及ぶと、痛みが出て歩行などの日常生活動作が著しく制限されます。痛みを我慢していると骨がどんどん痛ん できて、手術がしにくくなるので、手術のタイミングが重要です。
4.臼蓋形成不全(臼蓋が大腿の骨頭を十分に覆うことが出来ていない状態) ・・・骨盤の臼蓋の発育が不完全なために、大腿の骨頭をうまく支えられない状態を臼蓋形成不全といい、近年では、寛骨臼形成不全と呼ばれています。
我が国においては股関節痛を主訴とする患者さんの約80%が寛骨臼形成不全に起因しているという結果がでました。
発育不良によって臼蓋が小さいと、大腿の骨頭を十分に覆うことが出来ず、体重にかかる面積が小さくなり、股関節が不安定になります。その為、軟骨が擦り減り、股関節に痛みが出たり、亜脱臼を起こしたりします。発症年齢は20代後半から40代くらいの方が多く、妊娠や出産がきっかけで痛みが出たという方もいらっしゃいます。疼痛部位は、股関節だけでなく膝、腰など様々で、ズキンとするような痛みから鈍痛まで、人によって痛みの種類も違います。症状が進行すると、臼蓋や大腿骨頭の変形が強くなり、臼蓋から大腿骨頭が外れかかる亜脱臼の状態になることもあります。また、痛みはないけれど脚がだるい、疲れやすいという方も多くみられます。
これらの症状はほんの一部です。股関節は重要な場所でありますので、少しの痛みだから大丈夫!!と思うのではなく、早期に専門医に診察を受けることが良いでしょう。