これから寒くなる季節になるにつれて、筋肉が硬くなりやすくなったり動きが鈍くなるなど身体の不調が現れやすい時期に突入していこうとしています。
特に今回取り上げる五十肩は、寒くなって筋肉が硬くなるにつれて発症しやすい疾患に一つと言えるでしょう。治療をしていく中で、実は五十肩ではなくて違う疾患であったというケースもあります。もしかしたら、あなたの症状がこの内容にあてはまるかも知れないので、しっかりと五十肩との鑑別を出来るようになっていきましょう。
五十肩によく似た疾患
1.腱板断裂
腱板断裂とは、肩関節の関節包の外側に取り巻いている腱が一部断裂、もしくは完全に断裂した状態を示します。五十肩の場合は、早い段階での痛みは肩の前方の方に痛みが出ることが多いのですが、腱板断裂の場合は、肩の肩峰といわれる所に付着する、棘上筋腱の付着部に痛みを感じることが多く、その痛みが三角筋に放散します。
【鑑別診断の方法】
腱板断裂の場合は、関節拘縮を起こすことが少ないです。わりかし動きはいいですが、ある角度になると痛みが発生することが多いです。
1.有痛弧徴候:腕を上に挙げる際に痛みが伴う症状で、60度~120度の間で痛みを生じる。
2.腕落下徴候:手のひらを上に向けた状態で真横に90度上げてもらいます。上げてもらった腕を離してもらった時に、」支える事が出来なかった時に疑いがあると判断する。
X線の検査では五十肩と腱板断裂の鑑別は困難であり、最も有効な手段はMRIによる検査です。また、超音波による検査によっても見つけることが出来ますが、技術的な難しさがあります。
2.石灰沈着性腱板炎
石灰沈着性腱板炎とは、肩に存在する腱板の内部でリン酸カルシウムが結晶化して沈着したことにより発生する炎症の事であり、肩に突然痛みが現れてしまい、睡眠を妨げられるほどの痛みを訴えることもあります。肩の動かせる範囲が悪くなり、上腕まで動かせなくなることもあります。上腕骨大結節に圧痛が認められることが知られています。
【鑑別診断の方法】
X線撮影をすると肩に結晶化したリン酸カルシウムが、X線を吸収した像として写る点が五十肩と異なっている。(五十肩の場合は、異常がないといわれる事が多いです。画像に写らないが、肩に痛みがあり、動きが制限されている。この状態を五十肩と診断されます)
3.上腕二頭筋長頭腱炎
上腕二頭筋の腱の1つである、長頭腱mに炎症が起こる。この場所は、動きが起こるたびに、常に摩擦を生じることもあり、炎症を起こしやすい場所です。肩の前面に痛みや圧痛がみられて、更に摩擦を繰り返して腱が摩耗すると、断裂してしまう可能性もあります。
【鑑別診断の方法】
五十肩と違い運動制限がないのが特徴です。五十肩は筋肉の拘縮や関節の拘縮、または関節の癒着が起こる為に腕を上げたりするときなどに運動制限が起こります。
自身の症状を知ると言うことは身体にとってだけではなく、心にもいい影響を与えます。なぜ痛むのかというのをわかるだけでも多少なりとも気持ちが楽になるはずです。症状にあわした適切な治療を行うためでもある為しっかりと覚えておきましょう!!