人体の中で最も長くて太い末梢神経である坐骨神経ですが、この神経が圧迫されるなどの刺激を受けることで、腰部から臀部、太ももからふくらはぎ、そして足の先に至る範囲で、鋭く電気の走ったような痛みや、ピリピリとしたしびれ感、強く張っている感じなどの症状を来す坐骨神経痛です。
坐骨神経周囲の筋肉の緊張(筋肉の張り)を取り除いていく事で改善される坐骨神経痛は、筋肉に対しての施術だけではなく、ご自身で行っていただくセルフケアを共にしていただくことで後々の施術の結果にも差が出ます。今回は簡単にできるセルフケアを紹介していきます。
坐骨神経痛を起こす要因の筋肉
【ハムストリングス】
ハムストリングスは太ももの裏にある筋肉(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)で構成されています。この筋肉は骨盤を後ろに傾ける筋肉であり(後傾させる)、この筋肉が硬くなることで、骨盤の動きがうまくいかなくなって、間接的に腰部の動きを制限してしまうことで、腰部の筋肉にも緊張が増してしまい腰椎からでている神経を圧迫してしまい、症状を引き起こします。
また、ハムストリングスの緊張によって筋肉の中を走行している坐骨神経を圧迫することで坐骨神経痛の症状があらわれます。
【梨状筋】
臀部の筋肉の中に梨状筋と呼ばれる筋肉があり、坐骨神経はこの筋肉の下を通っています。この梨状筋の緊張が増してしまうことにより、痛みが増悪します。
・梨状筋の動き
この筋肉は膝を外側に回す働きがあり、逆に膝を内側に回すような動作をした時に、梨状筋の緊張が増して症状が増悪する可能性があります。ただ、この筋肉は股関節が90度曲がった状態になると、この筋肉の働きは逆に膝を内側に回す働きをする筋肉になる為に、膝を外側に回すと、梨状筋の筋肉の緊張が高まることで、痛みがあらわれる可能性があります。
簡単にできる臀部、ハムストリングス ストレッチ
【臀部(梨状筋)のストレッチ】
仰向けに寝そべった状態で片方の膝を曲げて、曲げた膝の上にもう片方の足を掛けます。その間から腕を入れて両手で膝下を抱えます。胸の方に引き寄せていきお尻に張り感が出たところでキープします。20~30秒ほどストレッチしていきます。
※上記が難しい場合は、椅子に座って行うことで同様の効果が出ます。
椅子に座った状態で、足を伸ばした体勢から足を片方の足にのせて形を四の字にします。その状態から前に屈んでいきます。心地よいくらいの痛みの場所で、20~30秒キープします。
片方の足を前に出した状態で膝から下を内側に曲げます。身体の体勢をしっかりと起こして、へその下を前に突き出すようなイメージで行います。前に出した臀部に心地よいくらいの張り感が出たところで、20~30秒キープします。
【ハムストリングスのストレッチ】
1.椅子に浅く腰をもらい
2.姿勢を真っ直ぐに保つ(体勢が前後に傾かないように注意して下さい)
3.伸ばすほうの足の膝を伸ばした状態にする
4.股関節を軸として、身体を前方に倒します。そして、伸びたところで20~30秒キープします
【ハムストリングスのタオルストレッチ】
仰向けの状態で、片足の土踏まずにタオルをかけて、両手で持ちます。
肩に力が入らないように、足を引き上げていきます。
20~30秒キープして、反対側も行います。
注意点とまとめ
どのストレッチでも共通することですが、強い痛みを伴うくらい伸ばしてはいけません。息を止めず、ストレッチしている最中もしっかりと呼吸をすることも大切です。
といっても、中々自分の力で改善していくことは中々難しいのが現状です。的確な強さや、運動の効果をしっかりと出すためには、ケアしきれないと思われます。
今回ここで紹介した運動は、痛みがそれほどきつくない方が行えるものを紹介しています。まずは、運動の出来る状態まで持っていく事が大切になります。