腰椎ヘルニアとは正しくは腰部椎間板ヘルニアと呼ばれる疾患で急激な外力が加わる、繰り返し重たい物を持ち上げるような作業(特に中腰での作業)を行うことにより背骨のクッションとなっている椎間板に負担がかかり、椎間板が変形したり、飛び出したりしてそばに通る神経を圧迫して腰痛や足のしびれを生じさせると言われています。
そのため、整形外科や病院などで検査をするのですが、検査とはどのようなものがあるのか調べていきましょう。
腰部椎間板ヘルニアの検査法
・レントゲン、MRI
・SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)
・ケンプテスト
・深部腱反射テスト
・知覚テスト
・徒手筋力テスト
【レントゲン、MRI】
レントゲンは骨の状態を調べることが出来る検査です。骨自体が密度の高い構造になっているのでX線が通りにくいために骨の状態がわかります。
「骨に異常がない」ということがわかるだけで診断を特定することは出来ません。
MRIは人の体に含まれる水分などの水素原子に電磁波を当てて、画像化したものを言います。骨以外の組織の診断に使われることが多いです。
MRI検査には二種類の画像があり、T1強調像とT2強調像と呼ばれています。
T1強調像の画像では、水分が多い場所は黒く映っており、T2強調像の画像では、水分が多い場所は黒く映ります。
2つの画像を見比べることで組織によって濃さの違いが出るために、椎間板などの組織の状態を判断することが出来ます。
腰部椎間板ヘルニアではMRI検査により確定診断されるケースが非常に多いです。
【SLR】(下肢伸展挙上テスト)
仰向けの状態で膝を伸ばしたままで、術者が足を持ち上げていった時に腰に痛みが出ると陽性と判断します。痛みが出る角度によって、痛みの原因が変わってきます。
・0~30度で痛みが出ると坐骨神経の動きがない状態
・30~70度で痛くなるとL5.S1とS2の神経が原因になっている可能性があります。
・70度以上は関節原性の可能性が高いです。
痛みがでたからといって必ずしもヘルニアとは限りません。(ハムストリングスの硬さなどもあるため)
【ケンプテスト】
真っ直ぐ立位をとってもらい(立位が困難な場合は座位でもいいです)体を後方に反らせて(伸展)、さらに痛みのある側面に傾けて(側屈)、更に腰部の回旋を加える。
腰部に痛みがあれば、椎間関節や椎間板損傷の可能性があり、腰部の伸展、側屈、回旋した方向に下肢全体に放散痛があれば神経根の圧迫の可能性、曲げた側の反対側に放散痛が見られるようであれば反対側の神経根圧迫の可能性があります。
【深部腱反射テスト】
脊髄を介して情報が返ってくる性質を利用して、どの部分の腱反射が弱くなっている、もしくはなくなっているかで問題のある場所を判断する検査です。
・膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)
座った状態で、膝蓋骨(膝のお皿)の下を打腱鎚で軽くたたきます。反射がなければ、3番と4番の腰椎間にある椎間板にヘルニアの疑いがあります。
・アキレス腱反射
上記と同様にアキレス腱を叩きます。反射がなければ、5番腰椎と1番仙椎間にヘルニアの疑いがあります。
【知覚検査】
痛覚検査や温覚検査、毛筆などを使った触覚検査などを行います。感覚が低下している場合に神経根障害などの可能性が疑われます。
【長母趾伸筋の筋力テスト】
長母趾伸筋をしはいしている神経は、深腓骨神経という神経に支配されています。腰椎の4番目から仙骨の1番目にかけて関与しています。母趾の背屈に対して術者が指で抵抗します。抵抗感がない、もしくは全く力が入らないなどがある場合は上記の神経に障害があると疑われます。
上記のすべての検査をしても全部あてはまらない、もしくは検査が陰性であっても画像上ではヘルニアがあって神経症状が出る場合は、腰部周りや臀部、下肢の筋肉による影響や仙腸関節の歪みから症状が出ている可能性があります。もしかしたら、このブログをみているあなたの痛みもヘルニアからではないかもしれません。