夏の厳しい暑さも段々と落ち着いてきてまだ残暑は残っているとは言え、過ごしやすくなって来ました。これからの季節は大会や試合など、運動をするのにも最適な時期でもあるのですが、気温差や、常日頃から動かしていないかたなど痛めてしまうこともあります。今回はスポーツによる原因での膝の痛みについて述べていきます。
原因と病態
ランニングやジャンプの繰り返し、オーバートレーニングにより痛みが生じます。別名で使い過ぎ症候群とも呼ばれます。
特に靭帯や筋肉が骨の部分に付着するところでは、筋肉の働きによる負担やストレスがかかりやすく、組織の小さな損傷を生じやすくなります。
また、膝の外側を通る腸脛靭帯と言われるものは骨のすぐ上を通るために、膝の曲げ伸ばしによって靭帯と骨が擦れあうことで炎症が生じて痛みに繋がります。
選手側の問題としては、筋力不足や筋肉のアンバランス、身体の柔軟性の不足、アライメントの不良、骨の成長と筋肉の成長のバランスが挙げられます。
練習や環境の問題を挙げるとしたら、オーバートレーニング、選手の体力や技術に対して合っていない練習、不適切なスパイクやシューズ、硬すぎたり柔らかすぎる練習場などが挙げられるでしょう。
【主な膝回りのスポーツ障害】
1.ジャンパー膝(別名:膝蓋靭帯炎)
名前が示すがごとく、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプや着地動作を頻繁に行ったり、サッカーのキックの動作やダッシュなどの走る動作を繰り返し行うことで発症するオーバーユースに起因する膝のスポーツ障害です。
太ももの前面にある『大腿四頭筋』の柔軟性の低下が要因の1つに挙げられます。特に成長期の長身の選手は骨の成長に筋肉の成長が追いついてないことがある為に、結果的に筋肉が硬い状態になり膝蓋骨周辺に負担が蓄積しやすいです。
ジャンプとダッシュなどによる動作を長時間にわたって行う場合、膝の伸びる仕組みに対して(大腿四頭筋が引っ張られることで膝蓋骨、膝蓋靭帯、脛骨粗面(すねの骨)に牽引力が加わる)に過度の力が働くことで、膝蓋骨周辺に微細損傷を起こします。
2.腸脛靭帯炎
陸上の中・長距離選手に多くみられる疾患で、別名ランナー膝とも言われます。膝の外側を走る腸脛靭帯が大腿骨との過度の摩擦によって炎症を生じて膝の外側に痛みを感じるスポーツ障害です。特にO脚の人、足の外側で体重を受ける癖のある人、関節の変形などで膝が不安定な人、体重による負荷が身体の外側にかかるといったケースで発症しやすくなります。
3.鵞足炎
鵞足炎に関しては、膝痛、変形性膝関節症のブログの中にある 膝下の痛み~鵞足炎~とは?に詳しく書いてありますので、そちらを参照にして下さい。
対策法
疼痛の程度によって対策法が異なるために、病期を段階に分けます。
軽傷:スポーツは出来るが、その後に痛む。
中等症:スポーツのプレーには支障がないが、途中と後で痛む。
重症:常に痛みが走り、プレーにも支障が出る。
どの症状にも関係して『RICE処置』を行うのが有効です。RICEとは、rest(安静)、ice(冷却)、compression(圧迫)、elevation(挙上)を示します。
軽傷の物であれば、患部のアイシングと原因を起こしている筋肉のストレッチやマッサージなどで十分対応できますが、痛みが重症化する場合は、動作の休止や、運動の休止などをして下肢の筋肉バランス改善を目的としたストレッチングを行い、疼痛が消失してからトレーニングを再開しましょう。